私が住宅街でヘアメイクサロンを開いて、痛感したことがあります。
それは──
ヘアセットという商材は、根本的に集客が非常に難しいということです。
どういうことかというと、ヘアセットは基本的に「特別な日」にしか必要とされません。
- 結婚式
- 七五三
- 成人式
- 卒業式
- ライブやイベント、パーティー
こうした「何か特別なことがある日」以外に、日常的にヘアセットをする人はほとんどいません。
エステやネイル、美容室のように、悩みや欲求が日常的に発生しません。
髪が伸びたから美容室に行く、しわやたるみが気になるからエステに行く、というように自然に生まれる“きっかけ”が、ヘアセットにはないのです。
ヘアセットはタイミング待ちの、一過性のサービス。
それが最大の弱点です。
ヘアセット単品では厳しい現実
ヘアセット単品で成り立っているのは、ほぼ繁華街の低価格・高回転のサロンだけです。
特に夜のお仕事の方たちは、日常的にヘアセットを必要とするため、繁華街のサロンは一定の需要があります。
しかし、それ以外の地域──
私のように住宅街でサロンをしている場合、どうしてもイベント需要に依存するしかありません。
だから、平日昼間などを埋めるために多くのサロンは、ネイルやまつげエクステなど他のメニューを取り入れ、トータルビューティーサロンとして営業しているのが現実です。
つまり、ヘアセット単品では集客が難しい。
場所とタイミングに大きく左右される商材なのです。
ヘアセットでリピートという概念すら難しい
また、ヘアセットは「リピートを育てる」という発想すら難しいジャンルです。
うちのサロンにはありがたいことにリピーターのお客様が多数いらっしゃいますが、それも不定期です。
例えば──
- 七五三で利用してくださった方が、結婚式でまた来てくれる
- 年に一度、同じイベントで来てくれる
- イベントが頻繁な方が、月1回や、時期によっては週1回利用してくれる
しかし多くの場合、次に来るのは1ヶ月後かもしれないし、2年後かもしれない。あるいはもう来ないかもしれない。
こういう世界なんです。
ヘアメイクという仕事そのものが「場所」と「タイミング」に依存する
ヘアメイクという職業そのものが、そもそも場所やタイミングに強く依存しています。
- 現場がある時間帯に、その場所へ自分が出向く
- イベントのある時だけ需要が発生する
だからこそ、ヘアセットという商材は集客が極めて難しいのです。 特に 場所にハンデがある場合はなおさら 難しい。
いくら技術を磨いても、宣伝を頑張っても、SNSをやりまくっても──
「きっかけ」がなければ、お客様は動かない。
これがヘアセットの残酷な現実です。
特に、激戦区でバリバリやってきたヘアメイクほど、この現実に気づきません。
「技術があれば来る」「宣伝すれば来る」と思い込みがちだからです。
私も、まさにそのタイプでした。
その結果、住宅街というさらに集客の難しい条件でサロンを始め、ここで改めて自分の無力さと、ヘアセットの難しさを思い知ることになったのです。
次回は、この「ヘアセット単品では人を呼ぶ強い力がない」という現実を踏まえ、私がどのように試行錯誤してきたかをお話ししようと思います。

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